もう少し一緒に

 

 

 

 

 

僕はあすのことが好きです。

 

その気持ちを持つことだけは自由だと

信じて疑ってきませんでした。

 

正確には少しだけ疑っていたかもしれませんが、

9割9分は信じていました。

 

でも、それは自由ではないのだと、今になって思います。

 

当たり前のことだと思います。

基本的には自由かもしれない。でも限度があります。

 

僕はその限度からもう、半分いや9割9分、

はみ出してしまったのかもしれません。

 

決してあすのことを好きでいるのが辛い、苦しいということではなく、

 

僕はあすのことを好きになってずっと、幸せですし、

これからもそうでありたいと思っています。

 

 

僕があすのことを好きでいる資格もないと思うのは

ただ、自分自身への絶望からです。

 

言葉と実際が、あまりにもかけ離れてしまったからです。

 

他に好きな人ができたとか、

男として裏切るようなことをしてしまったとか、

そういうことではありません。

 

他のことでは散々裏切ってきたかもしれませんが、それだけはありません。

 

 

前は僕から見てあすまでの間にあいてしまった距離を

可能性が埋めてくれていました。

 

追い付けるかもしれない

ふさわしい男になれるかもしれない

そういう可能性がです。

 

それに懸けられるだけの自信を、持っていました。

 

自分自身に絶望して初めて、

失うだけの自信を持っていたことに気づきました。

 

自分に対する信頼のようなものがあったから、

 

だからあすに好きだと言うことが心からできて、

そのことに何ら違和感を感じず、

僕がどうであろうと関係のないことだとさえ、思っていました。

 

心のどこかでは気にして、関係ないわけがないと思っていても、

それを見えないようにしてくれる、なにか夢のような力を、

あすがくれました。

 

僕は必死にその夢から覚めまいとして、

現実だと思い込もうとしました。

 

でも僕はとてもうるさいところで眠っていて、

起こされかかっています。

 

僕は、誰よりも幸せな眠りのなかにいて、

まだ、起こされたくないです。

 

だって今僕が誰かに起こされて目覚めてしまったら、

僕のこれからの現実の世界にきっと、あすはいないから。

 

夢のなかのあすとは違っても、

僕とあすの関係が僕のみた夢とは違っても、

 

目覚めた世界にも、あすがいてほしい。

 

 

初めてあすに会ったときから、6年ぐらい。

 

まだ、たった6年だよ。

 

あと60年、あすがいない世界で、

僕はどうやって生きたらいい。

 

 

だから僕はまだ、夢から覚めるわけにはいかない。

 

あすに起こしてもらうまで、

 

たとえ僕を起こしたのは

さよならするためだとしても、

 

おはようって、あすに、起こしてほしい。

 

その時笑顔でいられるために、

 

もう少し、一緒に眠っていてくれませんか。

 

僕はあすのことが大好きです。これからもずっと。