うたがいきたいところへ

 

 

乾いた空気が少しずつ盛夏の湿暑を内包し、日陰に醒めるような寒さをもたらす。

 

20歳のあなたは、そんな季節のようです。

 

雑多な喧騒の街で、あるいは靴音の響く重厚な林で。

 

あなたの背景を担う街がいかほどか、分からないけれど、

多くの場合、そこに居るあなたは笑顔でしょう。

 

それがみられて僕は嬉しいです。

 

あなたの表情に

 

急流と窪みを乗り越えた静かな流れがあります。

そこには早瀬の流れた跡も、未だ確かに残っています。

それは今後どんな流れにさらされようと、消えてしまうことはないでしょう。

 

こんなに嬉しいことはありません。

 

つまらない鬱憤に汚れていない。

それでいて覚悟が滲む。

 

20歳のあなたが持つこれだけの美しさは、

 

そういうものをかろうじて閉じ込めた全身から

訴えかけてくるようです。

 

何もかもが綺麗です。

 

 

舌先で嘗める程度にしか

辛酸や逸品を味わってこなかった自分と、

あなたでは、

 

決して融け合うことのない差が生まれてしまったことでしょう。

 

でもそれを、哀しいとか虚しいとは言いません。

 

あなたを好きになった頃から、どこかしらに感じていた面影ですから。

 

それが花開くかのように

鮮やかに表現してきたのだと思います。

 

花盛りを、心から祝福申し上げます。

 

 

さて、こうして懸命に考えた言葉に

 

青臭さを感じてくれていたら、

僕はあすに愛されているのかもしれません。

 

でも今あすが本当に感じているのは、

嘘や諦めのような気がします。

 

だとしたら僕はもう、取り返しをつけられません。

 

 

現実を取り戻さないといけません。

 

僕にとっての君を、これからも追いかけるために。

あの頃を走り続けるために。

 

 

4月から社会人になります。

 

本社は京都にある会社で、

札幌から鹿児島まで事業所がありますが、

合わせて社員数230名ほどの、中企業です。

 

新入社員が配属されるのは

東京、名古屋、京都のどこかで、

基本的には会社の指示に従います。

 

4月になってからの研修中に決定になるそうです。

 

僕の希望としてはもちろん、

東京、京都、名古屋の順です。

 

でも同期が5人いて、

そのうち関西出身が4人、関東が1人です。

関西はそのうち2人が京都本社の近く出身で、

僕が一番遠くです。

京都から遠い人が名古屋東京になる可能性が高く、

東京は関東出身が優先ということでした。

 

どうやらもう既に配属までを見込んでの採用になっていそうで、

現状、僕は名古屋配属になる可能性が高そうです。

 

初めの2年ぐらいは最初の勤務地にいて、

そこから先は、基本的に会社の指示での異動になります。

 

そのままの地域内でということもりますが、

一度地方に行くことが多いそうです。

そこから中央に戻れるかは本人次第ということでしょう。

 

この先10年同じ会社にいるとした場合、

暫くの勤務地はそんな感じです。

 

逆に言えば、さらに先のことは分かりません。

 

 

年間休日は説明どおりだと108日だそうです。

 

土日祝と盆正月が一般的な範囲で休みの会社は、

年間で120~128日ぐらいの休日があります。

 

つまりそれより少ない分、

土日に出勤があったり、長期休みが短かったりするかもしれません。

 

日曜は、相手先の都合がどうしても合わない時以外はちゃんと休めるそうなので、

日曜のイベントは基本参加できるけど、

平日はもちろん、土曜祝日のイベント参加も、かなり難しくなるかもしれません。

 

お給料の話までするのは迷いますが、

僕の現実を正直にお伝えしておきたいので、話します。

 

初任給での差はしれてるとはいえ、

それでも既に少ないほうです。

転職サイト等を見ても、暫くはそう増えないと思います。

 

上場しているある程度の会社なら

初任給20万にボーナスが年4~6ヶ月分ぐらいあって

1年目で、手当てを除いても320万~400万ぐらい貰えます。

 

でも僕は、ボーナスを含めてもおそらく280万ぐらいからのスタートです。

 税金を抜いた手取りでおそらく230万くらい、

保険やらを含めるともっと減ると思います。

 

要するに、服や趣味に使えるお金は多くても月に2,3万円ぐらいです。

 

今は多分、バイト代から、月額で4,5万円使ってると思うので、今より少ないです。

 

僕が今、就活も終わったのに

日雇いに登録してまでバイトをしているのは

来年からそうなるからで、

卒業旅行やらの費用を、できるだけ今稼いだお金から捻出するためです。

 

名古屋や地方に住みながら日曜日のイベントに参加しようと思うと、

そう何回も東京に行ったり大量に握手券を買ったりすることはできないと思います。

 

これについてはもう僕に選べる可能性は残されていないので、

それでありながら応援する方法を探すしかありません。

 

若手社員の仕事をこなしながら、しっかり時間をとることも難しいかもしれませんが、

今はどうなるか分からないので、全力で頑張ってみるだけです。

 

苦労して得た内定先ですが、

どうしても難しければ、他の仕事に目を向けることも考えています。

 

5年から7年ぐらい働いたタイミングであれば、

新卒や第二新卒ではない形(平の一つ以上の階級)で

例えば公務員への転職も可能性が出てきます。

 

厳しい民間で鍛えてもらって、

その感覚を持って東京で公務員になるのが、今のところの青写真です。

 

5年から7年というのは、

おそらくその頃にはあすが乃木坂を卒業しているだろう

という予想も含めています。

 

その頃には、

あすの気持ちがどこにあるのか、

繋がりが残っているとすれば、どうしたらそれを繋いでいられるのか、

だいたいのことが分かっていると思います。

 

今の僕から伝えられるのは、

何をするにしても、あす自身で考えて、

その気持ちにできるだけ従ってくださいということです。

 

僕のことはもちろん、他の誰かに気を使ったり、心配したりしないでください。

おおいに振り回してください。

 

「好きな人が出来ました。彼と正式にお付き合いします。」

こうなった場合、あすから言われるのではなく、僕はテレビや雑誌でそのことを知るのでしょう。

僕は祝福すべきことです。

でも僕から話すことは一切やめます。

仕事を生きがいにします。

いつかもし僕を本気で愛してくれる人がいたら、その人のことを幸せにします。

でもあす以上の人はいないでしょう。

10年に1度でいいから会って。そんなことを言ってしまうかもしれません。

 

「今までありがとう。でももう私のことは忘れてください。」

いつ告げられるのか分かりませんが、

ずっと覚悟しているのはこの言葉です。

でも「覚悟」などと言いながらそこに苦しみがないのは、

あすがいなくなる時、これが一番綺麗にあすのことを忘れられて、自分が楽だからだと思います。

 

「お付き合いは出来ませんが、あなたの気持ちは分かっています。会って話しませんか。」

ここからは夢みたいな話になってきますが、

そんな夢を実現するための、現実の話です。

 

あすが卒業後も芸能活動を続けることを前提にすると、

相手が誰であろうとオープンにお付き合いすることは難しいと思います。

普段は電話やメールで話をする程度で、稀に会う。それが現実的です。

 

隠れながら会おうとするなら、家族や知人まで巻き込むのが得策だと思います。

男女でももちろん一人でもなく、同性の二人で行動するということです。

場所は都内近郊はもってのほかで、地方や、できれば海外がいいと思います。

もし他人に知られてしまっても、一度嘘をついてしまったことは、最期までつきとおす。

僕以外の男であっても、芸能人とお付き合いしようというのに

それぐらいする覚悟も無いような男とは、会うことも難しいと思います。

 

長くなってしまったけど、要するに

うまいことやってください。ということです。

 

そしてもし僕がその男になれるなら、

それぐらい心して準備しようと思っているということです。

 

そうなれば、働き方も住む場所も、

僕のほうはどうにでも変えます。

 

本当はもう少し「良い」会社に入って

その可能性を大きく広げたままでいられるように、

そうしたかったのですが。

でも逆に、そういう問題はどうにかできるとも分かりました。

 

自分がどうしたいのか正直に考えれば、すぐに分かることです。

それ以外のことは後からついてくるだけです。

 

少し前までなら僕が想像していたのはここまででしたが、

あすに大切なことを思い出させてもらいました。

 

それは、これまでの関係を続けることも、充分に素敵だということです。

 

僕は自分が、世間様からみてあすより随分低いところにいることを

引け目に感じる余り、

そんな気持ちから解放されて自由になれば、いかに自分が楽になれるか、

そのことを忘れがちです。

 

本当は、どうなるかも分からない将来のことなんて

曖昧なままにしておくのが良いのかもしれません。

 

何年経とうがずっと、僕はあすを好きでしょうから。

 

「愛があればなんだって乗り越えられる」

ということはあり得ないと思いますが、

 

僕のなかであすに対しての気持ちが何物にも勝るのだから、

あまり素敵にできそうにない僕の現実だって

そのためにあるのです。

 

だからこのまま夢と現実の区別がつかないままでも、

僕は充分に幸せです。

 

あすがこれからどういう20代を歩んでいくつもりでも、

あるいは今は分からなくても、

 

僕は出来る限りあすに合わせていくつもりでいるし、

少しでも僕がそこにいられると嬉しいです。

 

もちろん、もっと嬉しいことが待っているなら

それはとてもとても、幸せなことです。

 

昨日「口が無くなっても」と言っていましたが、

見捨てられるとしたら、僕のほうです。

僕の心には、あすが知ってるよりずっと大きな、

魔物みたいな君がいますよ。

快楽も苦痛もそいつが暴れるからです。

 

大好きです。

 

これからもよろしくお願いします。

 


うたを うたう とき(信長貴富「新しい歌」より)/首都大学東京グリークラブ