かけていく

 

 

 

笑って、泣いて。

 

それを底から支えてくれる、

 

じんわりとゆっくりと、

僕の心の端のほうから、真ん中のほうへ染みでてくる、

大きな幸せ。

 

それが絶えることなく、

僕の心を充分に満たしてくれました。

 

僕の表情から自然に、いらない力みを抜き取って

優しい顔に。

 

力の抜けた顔に、涙が流れそうになりました。

堰をきったようにではなく、ちょっと溢れそうになるくらい。

 

 

ずっと、深く、幸せな時間でした。

ありがとう。

 

 

あすのことを好きになって、

 

正直に、僕は沢山の妄想をしました。

 

過去のもし、今のもし、未来のもし。

 

幸せなこと、楽しいこと、バカなこと。

でも同じくらい、

辛いこと、苦しいこと、悲しいことも。

 

そんな妄想をするから、

あすのちょっとした言葉に一喜一憂したり、

妄想を上回る事態にあたふたしたり。

 

そんなぐらいなら、

分からないことを、あーだこーだと考えるのはやめよう。

 

そう思ったこともあります。

 

「過去や未来という沼に足をとられるな。目の前には常に今しか存在せず、今こそが全てだ。」

 

そういう考え方もあると思います。

間違っていないし、正しい。

 

でもそれを本当に実行できたとしたら、

動物みたいに理性がないか、ロボットみたいに感情がないか、

そのどちらかだと思う。

 

たとえ自分や大切な誰かのことを

傷つけることに繋がってしまうとしても、

 

僕は過去の自分に

考えすぎることを止めろとは言えません。

 

叶わなかった妄想も、失敗も

今の僕を支えてくれる、大切なあの頃です。

 

そして今の僕は今の僕で、また違うことを妄想するのです。

 

それでいいんだと そうあるべきなんだと

 

登場人物みんなが

よってたかって、僕に言ってくれている気がします。

めちゃめちゃ笑顔で。

 

僕はどんなイタズラをされてるんだろう。笑

肉体的に痛いのだけはやめてほしいな。笑

 

 

回数を重ねていくと、自分の思い出に重なったり、

気づくことが増えいきました。

 

登場人物の誰かに似ているというより、

女性も含め全員に、何かしら似たところをみつけました。

 

 

僕にも過ぎていったあの頃があります。

 

11月3日に母校の文化祭の参観に行ったとき、

今年は久しぶりに、旧い校舎のほうに足を伸ばしました。

 

 

教室の木の臭い

朝イチ一人教室で掃除をしてるアメフト部員

17度設定の冷房

讃美歌は大声大会

弁当を食べながら下ネタばっかりの昼休み

サンデー

古い開きかたの下窓と上窓

半裸の男子達

アーメン、ラーメン、ソーメン、〇ーメン

正門前の田んぼ道、

駆け足コース、甲山

まだまだあります。懐かしい。

 

この、大人にならない男子ばかりで

アホなことをして楽しかったあの頃は、

中学の頃です。

特に1、2年生かな。

 

3年生になる頃にはみんなも僕も

もう少年という若さはなくなっていたような気がします。

 

その頃から成長が止まっているような気もしますが。

 

 

今になって振り返ると、

あれはイジメられていたのかな、ということや

よく平気でいられたな

という思い出も、幾つかあります。

 

でも少年の頃というのは

 

今よりずっと、

世の中のこと身近なこと、あらゆる人の感情、

その全てに鈍感で、

 

一瞬の楽しさがあれば、 

 総称して楽しかったです。

 

美化しすぎかな。

でもそうだったと思います。

 

敏感な部分は持っていれど、

何かに感じさせらることがあっただけで、

自分から感じようとはしていませんでした。

 

もしそんな頃に同い年のあすと出会っていたら、

大人になっていくあすに、とてもついていけなかったかもしれません。

 

そしたら今頃になって僕は、本を書いていたのかもしれません。

 

14歳と16歳になる年にあすと出会って、

そう時間のかからないうちに

 

男のほうが実年齢で2歳上であることが

若い男女の関係に滑らかさをもたらすことを、

 

お互いに分かった上で、

言葉を考え、話していませんでしたか。

 

そうして少しずつ大人になってきたので、

僕の、友達とのあの頃と、あすとのあの頃は、

必ずしも重なりません。

 

あすにとって僕は、

少しだけ、「外科医の先生」でもあるのかもしれません。

 

そういう点では、「追いかけた」という言い方は、

少し違うのかもしれません。

 

でも浩介のように追いかけたことも

多くあります。

 

 

22歳という時は、僕にそういう思い出を忘れることを

これでもかと突き付けてきます。

 

いつの間にか、

くだらない妄想をしたり、無条件に夢をみたりすることを

忘れてしまっていました。 

 

無駄なことだとさえ。

 

でも

それでいいんだと そうあるべきなんだと

 

みんなに教えてもらいました。

 

そんなみんなが愛おしいです。

大好きです。

 

この映画もいつか、僕の愛おしいあの頃になっていくんだと思います。

 

その時、まだ隣にあすがいても、もういなくても。

 

みんながかけていった足跡を、僕も一緒に振り返るとき、

この愛情を思い出します。

 

愛おしい作品を、ありがとう。